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''今日は遅くなるの？''
『なるべく早く帰るよ、19時くらいまでには』
''私のことは気にしないで楽しんできて''
『ありがとう、お姉ちゃん』
いってきます、何かあったら連絡してね、と告げると
控えめな笑顔で手を振った。
昔は明るく美しく、皆の人気者だった姉。
家の中でも外でも、よく笑う人だった。
今ではもう聞けない、鈴の音のような笑い声。
車椅子に座る彼女を見る度につくづく可哀想だと思う。
これでも随分と回復した方だ。
7年前、姉が高校を卒業する年。
卒業と同時に父の仕事の都合で引っ越す事になった矢先、
転落事故に合った。階段から足を踏み外し、大怪我をした。
何とか引越しは済んだものの
そんな彼女を愛し、育ててくれた父親さえ失った彼女は
毎日の様に発狂し、何かを恐れるように泣き叫んでいた。
その悲痛な叫び声と泣き声を聞き続けた1年間。
高校生になったばかりの少女には壮絶なものだった。
だが15歳の少女が逃げられるわけもない。
お金は？住む場所は？雇ってもらえるわけもない。
そしてなにより、たった1人の家族を捨てる事はできない。
私が高校２年生になる頃、
事故のショックで話せなくなった姉は
カウンセリングに通いながら手話を覚えるようになった。
＿＿妹さんも、よかったら。
部活動に励む資金などなかったので
放課後は、私も一緒に手話を学ぶようになった。
私が高校を卒業した後、元々住んでいたこの家に戻ってきた。
私には幼すぎて記憶が無いが、姉が5歳になるまで
母は元気だったらしい。その直後、持病が悪化し亡くなった。
母と、父との思い出が残るこの場所に戻りたい。
姉の申し出だった。私にも、それを断る理由は特に無かった。
『水族館、久しぶりだな』
事故以降、1人になりたい時によく行っていた。
あまり大きくない水族館。
本当の自由を知らない魚たちが水槽の中で泳ぐ姿は
まるで自分の姿を見ているようだったから。
…深海フロア、独特な待ち合わせ場所だ。
あの水族館には無かったので心躍るのも無理はない。
ここに帰ってきてから行くのは初めてだ。
仕事や家の事に追われて、自分の時間はめっきり減っていた。
『トムさん、ねえ』
姉と同い歳の男性。銀髪に顔の横でピースした写真。
電車に乗りこみ、彼のプロフィールを見返す。
＿＿どこか、既視感がある。
だが、その顔を見ても特に思い当たる人物もいないので
きっと気のせいか、とポケットにスマホをしまい込んだ。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
