終幕 �� ページ31
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＿＿＿数週間前。
美鈴ちゃんの事件以来、吐夢さんと連絡を取る頻度も、会う頻度も随分と増えた。
どこかで恋心を抱いているというのならそうだと思う。だがあの日から、姉の状態は悪化した。私が仕事に出ることさえも拒み始め、一緒にいてくれと懇願する日々。なのに理由を聞いても泣いてばかりで答えない。
ただただ鬱陶しい。
ごめんねと謝ってその手を離し、仕事に出る毎日。姉が邪魔なのは今更では無い。何度も思い出す、あの事故の日のこと。
あの日、中学校から帰宅した私を見て父親がため息をついた。いつもの事だった。リビングを通り過ぎようとした時、鳴り響いた電話。父が電話をとり、段々とその声色が不穏なものに変わっていった。
「……佳奈が、事故で重体、ですか？」
病院に連れられ、変わり果てた姉の姿を見た。打撲や擦り傷、二度と1人で歩けない体。父は呆然とその姿を見て立ち尽くすだけだった。
姉を見て、思わず口元を抑えたのを覚えている。
驚いたからでも、その悲惨さに言葉を失ったわけでもない。
心の底から、嬉しかった。口角が上がるのを抑えきれなかった。美しかった姉が、こんなに惨めで可哀想な姿になるなんて。1人、喜びをかみ締めた。ざまあみろ。
あの日、少女は救われた…ハズだった。
空港での奇妙な出来事から暫く経ち、あっけなく父が死んだのは想定外だった。あんなに可愛がっていたくせに、姉の面倒を見る責任から逃げて…最後まで最低で使えない男だ。葬儀は簡単に身内だけで済ませた。本当の地獄はここからだ。
その後、母と父との思い出が残るあの家に戻りたいと言った姉。私に思い出なんて何一つない。母は記憶にないうちに死別、出来のいい姉と比べられ罵倒され続けた日々。息が詰まりそうな毎日。そんな記憶しかない家に、誰が戻りたいものか。
断る理由は無かった。理由というか、術が無かったと言った方が正しいと思う。
……そんな昔のことを思い出しながら、錠剤の入った瓶を手にした。ジャラジャラとなるそれをじっと見つめる。
大丈夫、水に溶かして飲ましたら、あとは海に全て捨てるだけ。頭の中で何度もシミュレーションするのに、行動に移せないのは何故か。姉が死ぬのが悲しいからでも、自らが犯罪者となって世間に晒されるのが怖いからでもない。
＿＿＿＿吐夢さんに、嫌われてしまうかもしれない。
私は、やっと手に入れたその愛を、どうしても手離したくなかった。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
