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無機質な部屋に自らが液晶画面をタップするだけの音が響く。
ここには、必要最低限のものしか置いていない。
ようやく手に入れたと思った「愛」は壊れてしまった。
大事に大事に守ったつもりだが、彼女は知ってしまった。
自分が、結婚した夫婦に行っていた裁きと、自分達の繋がりを。
これでも家族だ、慈悲はある。命を奪う事はしなかった。
最も、彼女自身は屍も同然になったのだが。
父親も消え、友人も消え
あの後、邪魔だった彼女の母親も手にかけた。
彼女にとって、家族は自分だけで良かったからだ。
結局誰もいなくなってボロボロになって
唯一愛せた人間は＿＿父の不倫によって産まれた腹違いの弟。
悲劇のヒロインもいい所だ。
泣き叫び、力尽き、まるで深海魚のように濁った目。
言葉を発することはなくなった。
自分で立つこともできなくなった。
だから、彼女の母親が25年過ごしたあの小屋に連れていった。
人も来ない、静かで
その後の人生を過ごすには、実に似合いの場所だろう。
もっとも、まだ生きているのかは知らないが。
コネクト。新しく普及したマッチングアプリだ。
慣れた手つきで登録を済ませ、探し出した。本物の愛を。
何人かのプロフィールを見ていくうちに
1人、気になる女性を見つけた。
22歳。都内在住。
音楽と水族館が好きです。
なんともシンプルな紹介文だ。
輪花の時のように、運命的な繋がりを見つけた訳では無い。
…だが、確信した。その目を見て、これは自分そのものだと。
そして、思い出した。
過去の記憶と、あの日の''彼女''の目を。
愛に飢えた人間はこの世に沢山いる。
画面に映る飾らない自撮り写真。
印象的なのは、可愛らしい幼さの残る顔立ちと
それに似合わないピアスの数だ。
きっと……彼女も飢えている。
期待を込めて、ハートのマークをタップした。
''マッチング成立！''と画面が切り替わり
トーク画面へと移行した。ああ、胸が踊る。
彼女は、僕を愛してくれるだろうか。
四つ葉のクローバーのペンダントは、あの日置いてきた。
家族はもういない。そんなものは結局形だけの脆い物なのだ。
翌日、彼女の方からデートの誘いが来た。
すぐに返事を返し、待ち合わせの時間と場所を決めた。
＿＿水族館の、深海フロア。
クローゼットの奥にしまっていた、
ピンク色のジャケットとスニーカーを取り出す。
大丈夫、輪花さん。忘れる事は無いよ。
彼女のプロフィール写真を見返して、目を細めた。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
