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『…お姉ちゃん』
ぺたりと座り込む。力が入らない。声が出ない。
姉が？何故？浴槽で？浮かんでくるのは疑問ばかりだ。
車椅子も浴室にあるということは…やはり。
頭の中で必死に考える。あのメッセージからして、やはり濃厚なのは自分で望んだ行動だということ。
ただ一つ、気になる点があるとするなら。
『……こんな跡、今朝は無かった』
風呂場は洗面所とひとつになっている。その洗面台の床に黒いゴムが引き摺られたような跡。
車椅子とは考えがたい。彼女は洗面所に入る時、車椅子から降りて私の介助を受けるからだ。
『きゅ、救急車』
ハッとして、スマートフォンをとりだした。
手がビリビリと痺れ、視界は定まらない。
「はい、119番です。火事ですか？救急ですか？」
『救急、で、自宅で姉が＿＿＿＿＿＿』
そこからの記憶は曖昧だ。
気づいた時には姉は搬送され、結果溺死だということが判明した。私に届いたメッセージ、風呂場に置かれたままだった車椅子。そして何より姉の過去に起きた事故と、それによる身体の障害。
警察が出した答えは、私が考えたものと同じだった。
「この度はご愁傷さまでした」
『いえ…ありがとうございました』
その後、自宅に送ってくれた警察の人。
深々と頭を下げ、パトカーへと乗り込んでいった。
薄情な妹とでも思われているかもしれない。
＿＿＿涙は、一滴も出なかった。
帰って最初に迷うことなく姉の部屋に向かった。
なぜそうしたかは分からない、でも…どこかで何か繋がる物があった。
棚から姉のアルバムを開く。
小、中、高。姉のクラスの写真を一人一人辿ると、見慣れた髪色の男子生徒が目に入った。
『……永山吐夢』
卒業アルバム、見覚えのある名前。違うのは、今とは正反対の眩しい笑顔で笑う少年。
あの日、彼の姿を見て怯えた姉の姿。あの後理由をいくら聞いても、首を横に振るだけで答えることは無かった。
それ以降外に出ることも減った。庭を見ることさえも嫌がり、リビングのカーテンは閉めたままだった。
学生服に身を包んだ彼の写真を見て思い出した記憶。
あの日私は空港で姉の車椅子を押していた。
その姿を、遠くから見つめる男子生徒が1人いた。
会話はせず姉を見つめるだけ。父は気付いて居ないようだったが、その不気味な笑みと不穏な佇まいを覚えている。
『……もしかして』
全てを悟るのに時間は要らなかった。
やはり、私の人生は誰かに仕組まれたほどに
くだらなく、残酷でみすぼらしいものだ。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
