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「人には誰しも秘密があるものです」
「あなたが実の姉にそう思うのも、おかしな事じゃない」
彼は他人とはどこか違う。
だがその言葉に嘘がないことだけは不思議とわかる。
『そういえば、トムってどういう漢字なんですか？』
「夢を吐く。それで吐夢です。由来は知りません」
『へえ…本名なんだ』
「アプリで偽名を使う理由も、特にありませんから」
17時半。閉館が近づいて人もまばらになり
深海フロアにいるのは私達だけになった。
静かな水の音。
最近はずっと落ち着かない日々を過ごしていたから
人もいない、静かなこの場所が心地がいい。
『…少しずつでもいいですか』
「少しずつ？」
『私が吐夢さんを、受け入れていく事。』
この人も歪んでいる。
だからこそきっと、私の歪んだ部分も全て受け入れてくれる。
『今日、あの家にいるのは…少し窮屈でした』
ちょっと出てくる、それだけ言って姉を残してきた。
全て投げ出したい。逃げたい。何度、そう願ったことか。
『だから、ありがとうございます』
「なにがですか？」
『今、一緒にいてくれて』
その言葉にほんの一瞬、驚いたような顔をした。
「…愛する人の為なら、僕は何だってします」
「命を懸けても構わない」
冗談かと思ったが、彼の真剣な眼差しに息を飲む。
『…それはちょっと』
「嫌ですか？」
『吐夢さんまでいなくなったら、私には誰も居なくなるから』
だから、嫌です。
そう言うと、どこか満足そうな顔をした。
今日も薄汚れたコートにゴム製の長靴、貼り付けたような笑顔。
気味が悪いことには代わりないけど
今、私を…私だけを見て、愛してくれるのはこの人だけだ。
この人に、縋っていいのなら。
横並びで水槽を見つめる。
肩が触れる距離、恐る恐る彼の指先を握った。
その手はゆっくり絡み合って、強く握られる。
ガラスに反射して、2人の姿が映された。
「Aさん、前もって伝えておきます」
「僕は恋愛が苦手なんです。だからいつも拗れる」
「でも、誓います。あなたへの愛に、嘘は無い」
視線が交わる。自然と身体が向き合った。
この前のように、抵抗する気力がない訳では無い。
好きかと聞かれたら、わからないというのが正解だ。
だが、この人を…この愛を、受け入れようという覚悟。
＿＿＿それほどまでに、私は寂しかったんだ。
その感情の無い綺麗な顔が段々と近づいて
初めて出会った水族館、私たちは2度目のキスをした。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
