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テーブルの上に並べられた豪華な夕食。
結婚祝いだろう、おめでたい事だ。
「3秒与えます。選んでください＿＿どちらが死ぬべきか」
お決まりの台詞だ。
口を塞ぐガムテープは要らなかったかもしれない。
怯えて震えるだけで、声すら出せない女。
……でも、こっちの男は正反対に活きがいい。
呻き声を上げ、体を必死に捻じる。
その度に鎖がジャラジャラと鳴り、少し苛立ちを覚えた。
「3、2……1」
数え終わっても答えは出なかった。
片方は恐怖に涙を流し、片方は無様に抵抗するだけ。
「そうですか、残念です。」
「貴方達の愛は、偽物だと証明されました」
男の口を塞いでいたガムテープを剥がすと、
罵倒の声が響いた。汚く五月蝿くて、煩わしい。
カチ、カチ。
伸ばしきった刃をその額に差し込み
顎先にかけて斜めに、ゆっくり引く。
肉を裂き、骨に当たる感覚は中々に特殊だ。
最初は悲鳴とも呼べない声で呻くが
段々と声は掠れ、意識は飛び、身体が痙攣する。
「……っふ、ふ、」
「怖いですか？」
その姿を見ながら、ボロボロと息を漏らし泣く女。
残された側は可哀想なものだ。
この惨劇を見て、次は自分だと悟るのだから。
深く被っていたフードを脱ぐ。
こちらの顔を見た瞬間、その目を大きく、丸く見開いた。
「はじめまして、ではないですね」
「っ、ひっ、」
「僕の事、知ってくれているみたいですから」
ガムテープは剥がしてやったのに声にもならないらしい。
必死に身をよじり、
テーブルの上に置かれた自分のスマートフォンへ手を伸ばす。
縛られている身体では届くはずもないそれに、
ちょうど通知が入った。
「''本当におめでとう、綺麗だったよ''」
「……最期に相応しい、素敵なお祝いのメッセージですね」
丁寧に読み上げその画面を向けてやると絶望したような顔。
自業自得だ。
偽物の愛に現を抜かしていた、己が悪いのだから。
その上にゆっくりと跨り、刃を向けた。
「さようなら」
「彼女の事は心配しないで。僕が、誰よりも深く愛します」
血飛沫をあげながらも尚、叫ぶ名前。
＿＿＿それほど彼女を、家族のように愛していたのか。
だが残念な事に、証明して欲しいのはその''愛''ではないのだ。
「……に、げて……」
2人の手首を切る直前、聞こえた声。
誰かに届くことは無い。
「……くだらないな」
鉄臭い部屋の中
飾られた2人の写真に、バツを付けた。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
